日本のペットボトルのリサイクル率は、※85%と非常に高く、世界から見てもトップレベルを誇ります。
では、この集められたペットボトルをリサイクルすると、一体何になるのでしょうか。
本記事は、ペットボトルの再利用アイテムのご紹介や、リサイクルの流れ、資源を有効活用するための正しい分別方法まで、徹底解説します。
ペットボトルのリサイクルを正しく実施し、大切な資源を守るために、ぜひ本記事を参考にしてみましょう。
ペットボトルをリサイクルすると何になる?

ペットボトルは、各家庭で正しく分別されたのち、市町村から業者へと渡り、分別加工されます。
その後、さまざまな再利用アイテムとして生まれ変わります。
それでは、ペットボトルがどのようなものにリサイクルされるか、詳しく見ていきましょう。
ペットボトルを再利用したアイテム
ペットボトルをリサイクルすると、主に以下の4つの製品に再利用されます。
シート・トレイ類 | 卵のパック、食品用中仕切り、トレイ、防草シートなどに生まれ変わり、ペットボトルのリサイクルの30.6%を占めます。 |
繊維類 | ワークウェア、白衣、ネクタイ、肌着、バック、靴などに活用され、全体の7.3%が繊維製品として再利用されます。 |
包装フィルム | 食品用パウチ、粘着ラベル、日用品用パウチ、ラミネート包材などに加工され、幅広く活用されます。 |
成形品 | 台所用洗剤ボトル、セロテープ、定規、空き缶容器リサイクルボックスなどが作られ、日常生活に役立っています。 |
では次から、ペットボトルのリサイクルの方法をみていきましょう。
ペッボトルのリサイクル方法

リサイクルする方法として、主に以下の3つがあります。
- マテリアルリサイクル(物から物へ変わるリサイクル)
- ケミカルサイクル(科学の力で資源に分解する方法)
- サーマルサイクル(廃棄物を焼却した熱を回収して利用する方法)
ペットボトルのリサイクルは、マテリアルサイクルとケミカルサイクルの2種類で行われます。
ペットボトルをリサイクルする際に、マテリアルサイクルでは、「ボトルtoボトル(水平リサイクル)」という方法が、ケミカルサイクルでは「カスケードサイクル」という方法が用いられます。
「ボトルtoボトル(水平リサイクル)」、「カスケードサイクル」それぞれを確認していきましょう。
ペットボトルのリサイクル方法①ボトルtoボトル(水平リサイクル)
まずペットボトルリサイクル方法の1つめは、ボトルtoボトル(水平リサイクル)です。
ボトルtoボトル(水平リサイクル)とは、異物の除去を行った高純度の※1フレーク から、きれいなペットボトルを作る方法です。
ボトルtoボトル(水平リサイクル)は、何度も再利用できる高度な好循環リサイクルとなっています。
※1 フレーク…ペットボトルを細かく砕き、できたかけらのこと。
ペットボトルのリサイクル方法②カスケードリサイクル
ボトルtoボトル(水平リサイクル)という方法がある一方で、ペットボトル以外の製品を作る方法を、カスケードサイクルといいます。
この方法は、資源を繰り返し活用できるため、ゴミの削減につながるのが特徴です。
しかし、カスケードリサイクルが行われるたびに、品質は低下していくので、最終的には燃焼してエネルギー回収されるか、廃棄処分となります。
それでは、集められたペットボトルは具体的にどのような流れでリサイクルされ、製品に生まれ変わってゆくのか、みていきましょう。
ペットボトルリサイクルの5つのステップ

ペットボトルは、4つのステップにて再利用されます。
ステップ①消費者の分別 | 各家庭がそれぞれの各市町村の定めたルールに従って、分別し収集場所に排出します。 |
ステップ②市町村の分別・収集 | 集められたペットボトルを各パーツごとに選別、圧縮、※1 ベール化し保管されます。 |
ステップ③事業者による加工 | ベールを分別し細かく砕き、洗浄されます。 |
ステップ④商品を作り再利用 | 細かくされた※2 フレークや※3 ペレットにより、新たな製品へと生まれ変わります。 |
※1 ベール…リサイクルしやすくするために、ペットボトルを圧縮し、塊にすること。
※2 フレーク…ペットボトルを細かく砕き、できたかけらのこと。
※3 ぺレット…フレークを溶かしてできた粒状のもの。
ペットボトルは、ご紹介した4つのステップにて、分別加工され、再利用アイテムへと生産されます。
では、次から自宅ではどのように分別排出をしたらよいか、具体的な方法をご紹介します。
ペットボトルを正しく分別するための3ステップ

資源を有効活用するために、正しくペットボトルを分別することが大切です。
ペットボトルの正しい分別方法を3つのステップで解説します。
ステップ①キャップラベルを取り外す | キャップ、本体、ラベルを分別します。それぞれ素材が違うので、一緒に排出してしまうと、リサイクルできない可能性があるため、注意しましょう。 |
ステップ②ペットボトルの中は洗浄する | 強い汚れがあると、リサイクルできず焼却処分になる場合があります。 そのため、中はきれいに洗浄して排出することが大切です。 また、中をきれいに洗浄することで、リサイクルするための手間を減らせます。 |
ステップ③ペットボトルの横の部分をつぶす | 縦に潰してしまうとリサイクルできません。かさを減らすためにも、横に潰して排出しましょう。 |
また、はさみを使って切ってしまうと、リサイクルの対象外になるため注意が必要です。
ご紹介した3つのステップは、大まかな内容になっているため、詳細は地方自治体の分別のルールを確認し、正しく排出しましょう。
大切な資源を守るための分別時の注意点
正しく分別をすることで、資源を有効活用できます。リサイクル率をアップするために、排出する際は、中身を残さない、中に異物を入れないように注意しましょう。
内容物を入れたままだと、ペットボトルの品質が損なわれ、リサイクルに支障をきたす場合があります。
また手作業で分別をするため、異臭の原因や、キャップを開けた際に中に貯まったガスで、破裂する危険性もあるため、中身は空にしてから出すようにしましょう。
では次より、ペットボトルリサイクルのメリット・デメリットを確認してみましょう。
ペットボトルリサイクルのメリット

ペットボトルをリサイクルすると、環境や社会にとって多くの利点があります。主なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 資源の節約
- 廃棄物の削減
- エネルギーの削減
それでは、これらのメリットについて順を追って見ていきましょう。
資源の節約
石油は、ペットボトルを作る際や、生活を支えるための大切な資源です。
しかし、埋蔵量に限りがあるので、無計画に消費を続けると、将来枯渇するリスクがあります。
そのためリサイクルでペットボトルを再利用すれば、新たに原料を採掘・生産する必要がなくなるため、限りある資源の節約につながります。
廃棄物の削減
リサイクルができないと、廃棄物は埋め立て処分に回され、廃棄物の増加や埋立地のひっ迫を招くなど、深刻な環境問題となります。
そのためリサイクルを積極的に推進することで、廃棄物の量を減らすことができ、限られた埋め立て地の負担軽減にもつながります。
エネルギーの削減
リサイクルプロセスは、原材料から新しい製品を作り出す場合と比べて、必要とするエネルギーが少なくて済むのが特徴です。
そのため、リサイクルを推進することで、製造過程全体のエネルギー消費を押さえることができ、結果としてエネルギ―の削減や、地球温暖化の貢献にもつながります。
では続いて、ペットボトルをリサイクルすることで起こるデメリットについて、みていきましょう。
ペットボトルリサイクルのデメリット

ペットボトルをリサイクルすることで環境に良い効果が期待される一方で、いくつかのデメリットも存在します。
起こりうるデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 品質の低下
- 労力とリサイクルコストが発生する
- 汚染へのリスク
それぞれ確認していきましょう。
品質の低下
ペットボトルは、繰り返しリサイクルが可能ですが、再利用を繰り返すことで、素材の強度や透明度などの品質が、低下する傾向があります。
そのためリサイクルを繰り返すことで、元の高品質のペットボトルや食品トレイなどには再利用できなくなり、使用頻度が限られるという課題があります。
労力とリサイクルコストが発生する
リサイクルを実施するためには、労力やリサイクルコストが発生し、分別・回収・処理といった工程が必要です。
また、リサイクルの施設が整備されていない地域では、専用施設までの運搬にかかるコストが、増加するため、効率的なリサイクルの実現が難しくなります。
汚染へのリスク
ペットボトルが適切にリサイクルされず放置されたり、不適切に処分されたりすると、プラスチックが細かく砕かれ、やがてマイクロプラスチックとなり、海や土壌に深刻な影響を与える可能性があります。
また、ペットボトルは、自然分解しにくいことにより、長期間に渡って残り汚染リスクが高まります。
貴重な資源であるペットボトルを有効活用するために、正しく分別して排出することが重要です。
さらに、ペットボトルを使わない工夫も大切です。次から、ペットボトルを使わないための選択肢を考えてみましょう。
ペットボトルを使わない選択肢もある

ペットボトルは、地球の大切な資源で作られており、ペットボトルを新しく作るためには、大量の石油が必要です。
また、焼却処分時にはCO2が排出されるため、地球温暖化への影響が懸念されます。
さらに、分解されにくいプラスチックはマイクロプラスチックとして海洋に流出し、海洋生物や人体への悪影響を及ぼす恐れもあります。
そのため、ガラスのボトルの商品を選択したり、ステンレスボトルで水分補給をするなど、ペットボトルを使わない選択肢も考えてみましょう。
参照:マイクロプラスチックとは?種類や人体への影響、問題と対策を解説
まとめ

ペットボトルをルールに従って、リサイクルすることで、新たなペットボトルやトレイ、繊維類など新しいアイテムに生まれ変わります。
そして、正しく排出することで、資源の節約、廃棄物の削減、エネルギ―の削減となり、資源の有効活用や環境保全にもつながります。
また、ガラスのボトルの商品を選択したり、ステンレスボトルで水分補給をしたりするなど、ペットボトルを使わない選択肢も可能な範囲で実践したいものです。
コメント