戸建ての寿命は、30年と言われることもあり、築30年、40年と築年数が経過している戸建ての購入を検討している方は、戸建ての寿命が気になるのではないでしょうか。
この記事では、戸建ての寿命についてや、長く快適に住むために押さえておきたいポイントについて解説します。
ぜひ今後の戸建て選びの参考にしてみましょう。
戸建ては何年住める？寿命は？
家の寿命は30年と言われていることから、「築30年経つ中古住宅は本当に住んで問題ないの？」と気になる方がいるかもしれませんが、30年経つと住めなくなるわけではありません。
この建物の寿命については、「家の物理的な寿命」と、「耐用年数（法定耐用年数）」の違いを正しく認識することが必要です。
次から、「家の物理的な寿命」と、「耐用年数（法定耐用年数）」について詳しく解説します。
家の物理的な寿命と耐用年数（法定耐用年数）の違いについて
始めに、家の寿命が築30年というのは「耐用年数（法定耐用年数）」のことを指すと考えられます。
この「耐用年数（法定耐用年数）」とは、※減価償却のための基準となる期間のことです。
たとえば、木造戸建ては33年、鉄筋コンクリートは47年(いずれも自己居住地の場合)と定められています。
減価償却とは、耐用年数が33年の木造戸建てを例に挙げて説明すると、戸建ての価値が年々少しずつ低下していき、33年経過すると0円になるというものです。
そのため、戸建ての寿命が30年と言われる理由は、木造戸建ての耐用年数が33年と定められているからだと考えられます。
耐用年数が過ぎても住み続けられる理由とは？
ここで注意したいのが、たとえ「耐用年数（法定耐用年数）」が過ぎても、設備が使えなくなるわけではないということです。
木造戸建ての場合、物理的な寿命は約80年と言われています。
適切にメンテナンスが行われてきたか、どのような木材を使用されているか、施工方法はどのようなものかによっても変わってきますが、適切にリフォームを行うと80年ほど住むことが可能です。
戸建てを長く快適に住むためには点検と資金計画が大切
戸建ての寿命は、30年と言われていますが、以下の2つを行うことで、長く快適に住めます。
- 家の点検を定期的に行う
- リフォームやメンテナンスの時期・資金の計画を立てておく
順を追ってそれぞれ解説します。
家の点検を定期的に行う
戸建てに長く住むためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
家主ができることは、屋内外の異変を察知することです。
特に毎日使う水回りは劣化が早く、修理費が高額になりやすいため、お風呂・キッチン・トイレは重点的に確認しましょう。
ちなみに、専門家の目視点検は5万円、本格的な機器を使った点検では20〜30万円かかると言われています。
リフォームやメンテナンスの時期・資金の計画を立てておく
戸建てに長く快適に住むためには、メンテナンスの時期・資金の計画を立てておくことが大切です。
たとえば、外壁、屋根、キッチンは、10〜15年ごとにリフォームが必要になると言われています。
そのほかにも、水道管や壁紙など、経年とともに修繕が必要になる箇所は少なくありません。
家は、年月が経つほどに、さまざまな部分でメンテナンスが求められるようになるのです。
そのため、どのタイミングでどの箇所を修繕したらよいのか、しっかり計画を立ててみましょう。
では、次から戸建て住宅を購入した場合の、メリット・デメリットについて解説します。
戸建て住宅の購入のメリット3選
戸建て住宅を購入する際には、メリット・デメリットをしっかり把握したうえで、検討することが大切です。
戸建て購入のメリットとしては、以下の3つがあります。
- 新築よりも安く購入できる
- 実際に戸建てを確認してから購入できる
- ニーズに合わせた豊富な選択肢がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.新築よりも安く購入できる
戸建て住宅は、新築よりも安い価格で購入できる点が魅力です。
中には土地の価格だけで購入できる物件もあるので、住みたいエリアにお手頃価格で暮らせる可能性があります。
さらに、リフォームをすることで新築同様の快適な住まいに生まれ変わらせることができるため、新築よりもコストを抑えて暮らせるケースも少なくありません。
そのためにも、戸建て住宅を購入する際は、事前にリフォームにいくらかかるのか確認することが大切です。
2.実際に戸建てを確認してから購入できる
戸建住宅は、戸建てを確認してから、家を購入することができるのもメリットの1つです。
実際に住んだ際のイメージも付きやすく、修繕に必要な箇所を直接確認することもできます。
ホームインスペクション(住宅診断士)に依頼すると、プロの目線で戸建ての状態を確認することも可能です。
3.ニーズに合わせた豊富な選択肢がある
戸建て住宅は、不動産市場において流通数が多く、豊富な選択肢の中から間取りや立地を選べます。
一方、新築物件では物件数が限定しており、最寄り駅や地区の条件が加わると、さらに見つけにくい場合があります。
その点、戸建て住宅では物件数が豊富なので、多様なライフスタイルやニーズに合わせて、物件選びも可能です。
>戸建て住宅の購入のデメリット3選
戸建て住宅を購入する際は、デメリットもしっかり把握したうえで、判断することが重要です。
戸建て住宅の購入のデメリットとしては、以下の３つが挙げられます。
- 今後掛かる修繕やリフォームの費用を検討する必要がある
- 住宅ローンの審査が通りにくくなる場合がある
- 築年数が経過していると耐震補強工事が必要になる可能性がある
順を追って確認していきましょう。
1.今後掛かる修繕やリフォームの費用を検討する必要がある
物件によっては、建物や設備の老朽化が進んでいる場合があります。
老朽化が酷い場合は、屋根や外装、配管などのメンテナンスやリフォームで、100〜200万円ほどかかる場合もあります。
事前に戸建ての現状を把握し、リフォームやメンテナンス費用の有無や費用はいくらかかるか、などの確認が重要です。
2.住宅ローンの審査が通りにくくなる場合がある
戸建ては、新築住宅と比べると住宅ローンの審査が厳しくなる可能性があります。
これは戸建ての資産価値が下がってしまっているためです。
戸建ての状態によっては、ローンに落ちてしまうこともあるでしょう。
立地条件が悪く築年数が経過している物件は、さらに住宅ローンが通らなくなる可能性が高くなります。
そのため、事前にローンが通るかどうか「事前審査(仮審査)」を物件購入前にやっておくと安心です。
3.築年数が経過していると耐震補強工事が必要になる可能性がある
1981年（昭和56年）以前に建てられた住宅は、現在の耐震基準を満たしていないことがあり、耐震補強工事が必要になる場合もあります。
耐震工事を行っていない物件は、震度5の地震で倒壊してしまうことがあるため、築年数が経過している物件は、専門家によって耐震診断を受け必要な補強を受けましょう。
戸建て住宅の購入時の注意点
戸建てを購入するのは、新築よりも手頃に購入できることや、ニーズに合わせた豊富な選択肢がある反面、老朽化が進行しているデメリットもあります。
購入時には以下の注意事項を考慮して、物件探しを行ってみましょう。
- 建物の現状確認が重要
- 契約不適合責任を確認する
順を追ってみていきましょう。
建物の現状確認が重要
戸建て住宅を購入する前には、事前に建物の現状確認が必須です。
建物の亀裂、シロアリの被害、雨漏りの状況など、家の外観だけではなく、目には見えない内部の箇所まで入念に現状把握することが極めて重要です。
目視では確認できない箇所まで、家の現状を把握するためには、ホームインスペクション（住宅診断士）に点検してもらう必要があります。
ホームインスペクション（住宅診断士）で明らかになった問題は、価格交渉においても有利につながる場合があります。
契約不適合責任を確認する
契約不適合責任とは、目的物の現状と契約の内容に不一致があれば成立し、売買や賃貸借などの契約に適用されるものです。
売主は、買主の選択によって、目的物の補修、代替物への引き渡し、代金の減額、契約解除などの責任を履行しなければなりません。
たとえば、契約不適合責任を交わし、その後シロアリの被害が発覚した場合、買主は売り主に契約不適合責任を追求できます。
なお、売主が個人・不動産会社によっても保証期間が異なるので、事前に契約内容の確認が大切です。
戸建ての寿命が来たときの対処法３選
今まで家のメンテナンスを行ってこなかった、古くて使いにくくなってきたと感じてきた時は、寿命が近づいている可能性があります。
寿命が近づいた場合は、主に以下の３つの対処の方法があります。
- 全面リフォームを行う
- 建て替えを行う
- 戸建てを売却する
順を追って確認していきましょう。
1.全面リフォームを行う
始めに、全面リフォームという選択についてです。
間取り、設備、壁紙、床など、全面にリフォームを行う方法で、快適な生活が手に入り、新築よりもぐっとコストを抑えられます。
全面リフォームの場合は、国土交通省の資料によると、費用は500〜2500万円が目安とされています。
2.建て替えを行う
費用面や愛着、周囲との関係性などから建て替えを選ばないケースもありますが、日本人は、新築を立てる傾向が強いです。
そのため、戸建ての寿命が近づいてきた場合は、建て変えを選択する方は少なくありません。
建て替えのメリットとしては、ローンが組みやすいことです。
デメリットとしては、建て替えまでに約4〜6か月間かかるので、引っ越しを２回行わないといけなく、その分の費用負担が発生することです。
3.戸建てを売却する
戸建ての寿命が近づいた時に、建て替えやリノベーションを行わず、売却する選択もあります。
ただし築年数が経過している戸建ては、値段がつかない場合もあるため、更地にすることも検討しましょう。
戸建ての解体費用は、建物の構造や延べ床面積によって異なりますが、30坪の木造住宅だと90〜150万円程度がかかります。
最近は、リノベーションが流行っていることもあり、何も手を掛けず売りに出すという方法もあります。
まとめ
知っておきたい戸建ての寿命と長く快適に暮らすポイントをご紹介しました。
戸建ての寿命は30年ですが、普段からの点検、定期的なリフォーム、お掃除、お手入れなどで長く住むことが可能です。
家は時間と共に劣化していきますが、丁寧なケアを心がけることで、住まいの寿命を伸ばし、住み心地の良さを保つことができます。
しっかり将来を見据えて、計画を立てておき、何かあった時に対応出来るようにしておくことがおすすめです。
また、戸建の寿命が来た時は、全面リフォームや建て替え、売却などの視点も検討してみましょう。
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